久しぶりに調律師の方に来てもらっている間に書いています。
大好きなこの調律師さんはスタインウェイジャパンの調律師で、関西のコンサートホールなどで調律をされるような凄い方。かれこれ30年近く同じ方なのですが、本当に彼の調律はピアノの音がまろやかで良く響くようになり、タッチも底付き感がなく弾きやすいんです。説明しにくいけど、うちのスタインウェイがなんだかよく鳴るようになり、上手になったような気分になります。そう、一番近い説明は、「あるとき〜」と「無いとき〜」の551のコマーシャルのような気持ち。
この方と初めて出会ったのは私がアメリカから帰って来て間もない頃で、1987年くらいだったと思います。インディアナから奈良県生駒市の実家に船便で運ばれて来たピアノは、アメリカ時代も調律師難民であまりよく鳴っていなかったのです。鍵盤も重かったし、高音部がまるで響かない。あきらめかけていたこのスタインウエイを、あの時、生駒の実家でまるまる1日かけて調律と調整をし、まるで違う楽器のように生まれ変わった時の感動は今でもよく覚えています。もうダメだと思っていたピアノを「良いピアノだね」と褒めてくれたのも、とても嬉しかったです。なんでも、ニューヨークスタインウェイは色々なところが大雑把に作られているけど、全体としての響きが良いのだとか。アメリカっぽいですね。
その後、約10年間東京に住み、この方とも疎遠になってしまったのですが、2011年に再び奈良に引っ越して来たとき、ネットなどで調べて、あちこちに連絡してやっと探し出しました。前の職場もお辞めになっていたようで、見つけるのにちょっと苦労したのを記憶してます。東京での調律は、悪くはないけど「普通」でした。本当に普通。彼に調律してもらうと「あるとき〜」と「無いとき〜」のような幸福感の違いがあるんです。
どうして、このような違いがあるのか本人に尋ねてみましたが、調律のやり方を弾いている人の弾き方に合わせているとか、ピアノにおまじないをかけているとか、色々と説明は受けるものの、全然意味がわかりません。きっともっとテクニカルな秘密があるのでしょうね。
今日もどのように出来上がってくるのか、とても楽しみです。


