ピアノと勉強の両立について考える

一生懸命にピアノを子供の頃より続けてきて、コンクールなどにも出場し成績を残してきたような子供が、小学4年か5年くらいになって勉強が忙しくなったからとか、塾に通うからと、あっさりとピアノを辞めてしまうケースが日本では非常に多い。どこのピアノ教室でも先生方を悩ませる事案だ。そして、どの先生も心の中では、「本当は続けられるのに」と思っている。なぜなら、先生自身もやめずに来たから。受験などで一時的にピアノに向かう時間が少なくなるにせよ、細くでも継続し、大変なその時期を辞めずに乗り越えてきた子供たちは、その後中学高校でも止める事なく、生涯音楽を友として続けている場合が多い。そして、それが人生をいかに豊かにするか、いかに自分を強くさせてくれたかを音楽をしている人はみんな知っている。趣味だからとか、プロになるかとかは関係なく、何かを継続してやることには意味がある。

それに高学年以降は、やっとベートーベンやショパンなどの本格的な名曲を弾くようになり、ピアノが本当の意味で楽しくなってくるので、メインディッシュを食べないで帰ってしまう人みたいで、非常にもったいない。シェフの気持ちにもなって欲しい。

こちらの記事は去年のピティナの特級で優勝した角野くんの記事である。音大生ではなく、東大の大学院の工学研究者でありながらの優勝。記事の中で彼は、勉強を1日に14時間したり、ピアノを1日に14時間弾く事はできないけど、それぞれを7時間ずつなら出来る、と書いている。凄い。数値を出してくるあたりが研究者らしく、分かりやすい。しかも、素人にもわかりやすい計算だ。

ところで、ピアノをやめて勉強に専念したいと言っている生徒たちは、果たして起きている時間全てを勉強に費やしているのだろうか。もしそうだとしたらピアノを生活に組み込むのはさすがに難儀だけれども、例えばテレビを見たりスマホをいじったりして、起きている時間全て勉強していないのだとしたら、ピアノをやめてしまう前に、なんとか時間の使い方を工夫できないか考えて欲しい。もちろん、ピアノは勉強ではないし、やらなきゃいけない義務でもない。でも、ピアノは、そして音楽は私たちの心を少し強く、そして豊かにしてくれるから、そう簡単に放棄するべきではない。人生においても大変な時や、ストレスに押しつぶされそうな時、私はピアノに向かうが、それがない人はどのようにして自分を立て直しているのだろうか。

人生においての宝物を簡単にギブアップして良いのか、両立する方法は無いのか親子で真剣に考えて欲しい。

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